2022年11月にXAG社のR150をブドウ畑でデモ運転してもらいましたのでその詳細を書こうと思います。

R150とは農業用無人車のことで運搬や防除、草刈り(まだ試験段階)を無人で行なってくれる機械です。

ホームページはこちらから→https://www.xa.com/jp/xauv_r150

かねてよりこの機械は垣根仕立てのブドウと相性がいいのではないかと思っていました。

垣根仕立てであれば元々トラクター作業を念頭に置いて機械作業が行いやすく整列されています。

防除もリンゴや桃のようにそこまで距離が離れておらず、農薬が葉裏までかかりやすいと予想しておりました。

デモは11月下旬に行いました。メイン作業は防除を想定しております。

まずは外観から。ホームページで見るより大きく感じました。軽トラ荷台に載ります。

早速防除をしている様子です。操作はスマホアプリと専用コントローラーで行います。

ご覧の通り列間(2.2m)に余裕で収まり、作業ができます。

最大の懸念点であった葉裏までしっかりかかるのかという点も見る限りでは大丈夫そうでした。

時期的に葉っぱは枯れていたのですが、隣の列までものすごい勢いでした。

噴射口がジェットと口角散布がありまして、写真はジェット散布している様子です。

噴射の強さ、角度、量はアプリで細かく管理することができて、これは7割くらいの強さだったと思います。

なぜR150に興味を持ったのか

私がR150に期待したことは作業の自動化です。

防除や草刈りが自動で行われたらとんでもない農業革命です。特に私のような1〜2人で作業を行なうものにとっては助かります。

(草刈りロボットは既にあるのですが、雪害対策のために苗木を斜めに植えているため、そこに乗っかり木を切ってしまうため断念しました)

ただ、現時点ではR150に作業を任せて他の作業を行うというのは難しいように感じました。理由は2つ。

・障害物があっても止まらない

・アプリを常時起動した状態である必要がある(通知がない)

1.障害物があっても止まらない

そもそも私がR150で自動防除ができるのではと思ったのは農薬散布用ドローンに影響されています。(最近免許とりました笑)ドローンには自動航行と言ってGPSを利用して作業ルートを作成、ボタン一つで散布するという機能があります。これがR150でもできると思っていました。R150にはルートモードという自動航行のように測量したGPSをもとに勝手に散布してくれるものがあったからです。

ルートモードはコントローラを持って実際にコースを歩いて始点と終点を決めます。

この黒いのがコントローラー

実際に計測したルートがこちらです。

上手にまっすぐ計測できたと思います。

黄色の線が走行するところになります

ですがこの後、ルートモードを開始すると徐々に左側にずれていき、ブドウにぶつかってしまいます。

原因は終点の数十cmのずれだと思われます。始点と終点をまっすぐ進むので少しでもずれるとだめだそうです。

ドローンだと障害物センサーがついているため、障害物にぶつかりそうだとなった場合、止まりますがR150にそのような機能はないためあのまま進んでいたら木が折れていました。

ドローンだと数十cmくらいのずれはあまり気になりませんが、地上だとそういう訳にはいかないのだと気づきました。

2.アプリを常時起動した状態である必要がある(通知がない)

アプリは常に起動させておく必要があります。なぜなら農薬がなくなっても通知がないからです。タンク内の量をリアルタイムで表示するのでなくなったら、自分で判断して止める必要があります。また、農薬が無くなった地点を記録することも、農薬を補給する場所まで自動で走行することもないそうです。(ドローンにはあります)

タンクの容量は100Lです。ちなみに中には農薬が固まらないように攪拌する装置はありません。

アプリに対応しているOSは現時点(2022年11月)アンドロイドのみでiosは対応していません。

以上の理由からR150に自動防除をお願いするというのは現時点では難しいようです。

ではどういった方が活用ができるのか。

オートクルーズモードというものがありまして前進のみ決められたスピード、散布量で進むモードがあります。左右への微調整は可能なので散布中、後ろについて行くことで安全に散布ができます。高速で進む訳でもないので少しくらいなら枝を切ったり、台木から出てくる芽をかいたりといった作業をしながら散布はできそうです。

終点まで到着したらコントローラで操作してR150を次の散布位置まで移動させ、またそこからオートクルーズを開始といったところです。

他の情報です。

・防除や運搬といった様々な役割をアタッチメントを変えることでできるのがR150の魅力です。ただ、アタッチメントはネジでしっかりと台座に固定されているため簡単につけ変えるといった具合にはいきません。

・バッテリーで動きます。2本搭載することができて、散布量などによって変わりますが2〜3時間くらいは稼働できます。ガソリンで動く急速充電器もありまして15分ほどで満充電となるそうです。

・本体やバッテリー、充電器を合わせると300万円前後(防除システムの場合)

・コントローラーでの操作は簡単でした。ラジコン感覚です。

・購入して実際に稼働するためには講習を受ける必要があるそうです。

・坂道は角度15度までいけるそうです。

徐々に導入する農家さんが増えているそうです。スピードスプレイヤーが導入しずらい畑で人力で散布しているところが多いそうです。

タンクの容量も少ないので手間はかかりますが、体力の消費、散布中の安全面などで考慮してとのことです。

従業員に防除作業を行わせる場合もいいかもしれませんね。

以上うちの畑で行ったR150の記録でした。

今回協力して頂いた企業さんです。

(株)ケーエス https://ks-agri.com/